麗らかな春の日差しが降りそそぐ、紅茶の美味しい朝のこと。ゴーシュとラグは非番の朝の静かなティータイムを楽しんでいた。
特別、会話がある訳でもなく、ティーカップをソーサーに戻す音や、ゴーシュが頭の痛くなりそうな難解な本のページをめくる、紙の擦れる音が、ただただ流れているだけだった。ラグはテーブルの上で組んだ腕の上に顎を乗せ、すぐにでも眠ってしまえそうな体勢のまま、向かいに座るゴーシュを、特にどうする訳でもなく、ぼんやりと見つめる。
日の光に照らされ、彼の綺麗な銀の髪がきらきらと光る。同じものの筈なのに、くせっ毛な自分のものとは全く違う。まるで絵のようだ、とラグは思う。
どのくらいそうしていたのかは分からないが、ラグの視線に気付いたのか、ゴーシュが顔を上げ、ぱちりと目が合ってしまった。思わずどきりとしたが、ゴーシュは優しい微笑みを浮かべてくれた。つられるようにラグもまた、気が抜けたようにふにゃりと笑う。
会話がなくとも、この穏やかな空気はとても居心地がいい。幸せな朝だ。
さて、今日はゴーシュとどこに出掛けよう。
幸せな時間はまだまだ続きそうだ。


2010.01.21-2010.02.25 clap


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