背筋を伸ばして歩くんだ。この生を誇れるように。

◇ナポリ・カヴィリエーラ編・前半(1年目・春)


2. Caviriera d'Italy


警察を名乗る男達に追われていたエルザは、思わず逃げてしまった。彼女を案じた知人の救けを得ながら、喫茶店に匿われる。そこを訪ねてきたのは、アラウディと名乗る青年。エルザは警戒するものの、幼馴染と同じ懐中時計を持つことから、アラウディを自警団の人間だと信用する。彼が明らかにしたこと、それは、警察を名乗る男達はサレルノを拠点とする新興マフィアだということだった。なぜ自分は追われているのか、なぜアラウディはここへきたのか。完全に包囲された状況下から、エルザはアラウディの手助けにより脱出する。汽車へ乗り、アドリア海沿岸を回り、向かうはナポリ。

移動中のジョットとGにも、チェラーゾファミリーの活動が激化していることが伝わる。彼らはサンソーネ・メロイという地主貴族との交渉のため、ナポリを目指しているところだった。アラウディとエルザがナポリに向かっていることなど知らずに、山を越え、一足先にナポリの拠点へとたどり着く。そこで市街地の隠れ家に身を寄せていたナックルたちと合流する。
数時間遅れてナポリに到着したエルザとアラウディ。エルザにとっても馴染みのある街・ナポリ。彼女は初めて訪れた日のことを思い出す。思い出しながら、一人饒舌にアラウディ相手にしゃべり続けた。そうして、暗くなったナポリの街で、ガス灯に照らされた男女を見つける。その二人は、エルザの兄・ベルナルドと、かつてエルザを使用人として引き取った地主の夫人であった。夫人は取り乱しており、娘を誘拐されたことを嘆いていた。
エルザとアラウディはベルナルドに代わって夫人を邸宅まで送り届け、主人と顔を合わせる。アラウディはアルバートと名乗り、身分を偽っていた。歓迎された二人はささやかな挨拶を交わすも、次の来客のために主人は席を立つ。そして、二人は屋敷を出たところでチェラーゾファミリーの暴動と遭遇するのであった。

ジョットとナックルはサンソーネ・メロイの邸宅を訊ねる。不機嫌なサンソーネは彼らをうっとおしげに対応していた。そこで邸宅の外で銃声が鳴り、ジョットとナックルは駆けつける。その場でアラウディが男達を捉えていた。力尽きていたのはチェラーゾファミリーの男たち。彼らを倒したのは、アラウディではなく、揃いも揃って赤い靴を履いた男たちだった。チェラーゾファミリーから、サンソーネの娘・アロンザが解放される。どうやら、チェラーゾファミリーもサンソーネと衝突していたらしい。しかし、ジョットを驚かせたのはそれだけではない。故郷にいるはずの幼馴染までその場にいたのだ。

留守番をしていたGは物思いにふけっていた。それもこれも数分前、部下がチェラーゾファミリーの壊滅の知らせをもってきたのだった。飛ぶ鳥を落とす勢いといっていいほど、突然の出来事に誰もが驚きを隠せなかった。そしてチェラーゾファミリーを壊滅させた勢力が判明する。ナポリを中心に活動するカヴィリェーラという労働者集団が、突然武装集団へと化けたのであった。アラウディは誰寄りも早くカヴィリェーラの存在を掴んでいた。

緊迫する状況の中、エルザの身柄をどうすべきか、ボンゴレの男達は悩んでいた。ジョットはボンゴレの現状をエルザに告白する。自警団という名義で、危険な仕事も請け負っているボンゴレ。その規模や、敵の多さは一自警団としては異様であった。それにこたえるように、エルザはかつてサンソーネ邸宅で勤めていたことを改めて打ち明ける。彼らの中で点と点が線でつながりはじめる。複雑に絡まり合った糸が、彼らを縛り付けていた。

その頃から、ナポリではボンゴレ迫害の動きが目立ってきた。食料品は買えず、銀行も利用できず、資金は途絶え、追い込まれていた。相変わらず鉄道も利用できず、エルザを町に返すこともできない。本部との通信も途絶えてしまった。仲間たちに疲れが見え始めたころ、狙うようにしてカヴィリェーラが動き出した。ボンゴレに宣戦布告をし、ボンゴレがマフィアと成り上がる危険性を訴え、組織解体を要求してきた。壊滅させたチェラーゾファミリーの勢力をも吸収し、カヴィリェーラは戦力を増していた。ボンゴレのもとに入ってくる情報では、南部に位置する同盟ファミリーのほとんどがカヴィリェーラによって制裁されている、と。なんとしてでも交渉の糸口を探せというジョット。戦争を招きたくないのである。

時を同じくしてカヴィリェーラ側では、大元であるメロイ家の当主・アダルベルトがシエナより帰還する。彼を邸宅で待っていたのは、エルザの兄・ベルナルドであった。ボンゴレに通じる交通・金融面は把握したという。エルザに固執するベルナルドに呆れる様子のアダルベルト。しかしアダルベルトとしても、エルザの必要性を見出し、なんともメロイ家側に奪還したいところであった。彼女をメロイ家発展のために、一度養子に迎え入れてから政略結婚にだそうというのだ。

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