エピローグ

 やがて一世紀半の時が経った。国内を広く移動する彼らに欠かせなかった馬車や汽車は見世物となり、人々は電車や自動車を走らせた。多くのつながりを必要とした彼らに欠かせなかった電報は廃れ、電話が繋がり、手紙によるコミュニケーションは今や目に見えない電波に乗せられて直接手元に届く。海を渡るのに船以外は考えられなかった彼らがみたら、目を疑うだろう。こんにち、人は鉄の塊さえ空に飛ばす。あの後も幾度となる争いが繰り広げられてきた。
 そして21世紀を迎えた現代のイタリア。かつてここで舵を取っていたボンゴレの創始者たちは、もはや伝説のような存在となっていた。
 そんなこともまだ知らない、あまりに幼い一人の少女が、まるで美術館のように静かで、牢獄のように冷たい地下室へと足を踏み入れる。



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