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――…、そうですね。会長は大変素晴らしいお方です。
必ず、この学園をより良いものにしてくださるでしょう。

滝真様には周囲を自然と惹きつけてしまう魅力があります。先代やそれ以前に会長職に就かれていた方々と比べても――大変恐縮ですが――滝真様は完璧なお方ではありません。ですから私共が支えなければいけないのです。
俺たち、生徒会長親衛隊が会長を支えて行きます。そして彼の行く道を邪魔する者から守ってみせましょう。ええ。必ず、ね。


メモ
会長との不仲説が一時期学園に広がっていたが、改めて取材をしてみるとそんなものはただの噂に過ぎなかったようだとわかる。
彼自身は昨年度の外部からの転入生である。転入直後、当時生徒会補佐だった浅葱滝真(あさぎ そうま)の人間性に一目惚れ。(恋慕によるものなのか、憧憬か、はたまたそれ以外のものなのかは不明)
物腰が柔らかく清潔感がある。また本校へ条件の厳しい外部からの転入ということで、学力、家柄、共に文句の付け所のない、真に会長を慕う親衛隊長にふさわしい人物だと認識。




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――…あ?なにおまえら、―…、で?…だるいな――…あ?…お、いいの持って…――さんきゅ…――めに終わらせてくれよ。

…んで、なに。滝真?
確かにあいつとは一年の時同室だったけど、別に大した話なんてしてこなかったぜ。
隣町のヤンキーがやばいとか先輩がイキっててきもいとか、古文の女教師がエロいとかそんなくだんねー話ばっかり。
あいつがまさか会長になるなんてなぁ、八雲さんの思惑通りって感じだな。一年の時はあんなに嫌がってたのに、今じゃすっかり生徒会長様様って、笑える…え?ああ、いや。今のは聞かなかったことにしてくれ。こんなん出回ったらあいつ、何しでかすかわかんねーからな。
それでなんだっけ。……ああ、はいはい。あいつについて話せばいいのな。

プライドが高くて意外と気遣い屋、面倒事に巻き込まれるタイプで、あんな面しといて意外と苦労人だな。
ま、こんなもんだろ。これ以上は追加料金になるぜ。手土産持ってまた来いよ、おもしれー話してやるから。……まっ、手土産次第だけどな。



メモ
前半部分のやりとりを省略。クラスFでありながら、浅葱滝真の元同室者であり今でも親交があるという人物は想像以上に柄が悪かった。
本稿の主題である、生徒会長へ対する評価・支持率については聞き出せなかったがその代わりに面白い話を聞けた。
彼の言う八雲、とは2年前の生徒会長の日暮八雲(ひぐれ やくも)の事だろうか。噂によると浅葱会長と八雲前会長は親戚同士だとか。それが今年度の生徒会長に浅葱滝真が選ばれたことに関係するのか?
追って追加取材を検討する。(交際費の上限を上げる事を次の部内会議で提案する。)




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取材拒否


メモ
元々取材に応じてもらえる望みは薄かったが、やはり全く取り合ってもらえなかったこの結果は痛い。どうにかして風紀委員長直々の見識を聞けないものだろうか。
またその際には、中等部まで続いていた彼らの交友関係がなぜ破綻したのかもぜひ訊ねてみたい。……というのは流石に配慮に欠ける行動だろうか。
現在の彼らの関係からは想像もつかない程、当時は仲が良かったと噂に聞いている。一体彼らの間になにが起こったというのか…。


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