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「本当に相良くんが好きなんだね」

「好きっていうか…まあ、幼馴染だから」

「幼馴染ねえ、でも影也とか岩村くんとかといる時間の方が長いでしょ?」

清原の言う通り、確かに一緒にいる時間は遥かにあの二人の方が長い。しかし秋とは星渦に入る前からの付き合いだ。学園に入る前の俺を知る人物、そんな大したことない理由だったがそれだけで秋は俺にとって特別な存在だというのは確かだった。

「二人とはなんか違う。秋は幼馴染、って感じなんだよ」

「へえー、よくわからないなあ」

俺も自分で言っててよくわからないのだから清原がわかるはずもない。不思議そうな顔をする清原に、まあそうなるよなと思いながら、カモメが鳴く空を見上げた。

日が大分上ってきた。
ここから見える、道路を走る車の通行量も先ほどよりも増えた気がする。話をしながらで気がつかなかったが、砂浜を結構進んだようで辺りに小屋のようなものも建ち、ここら辺はもう既に私有地を抜けているのだろうかと思う。遠くの方で浜辺を歩く人影もまばらに見えた。

そろそろ引き返して家に戻るかと提案すると清原はそうだね、と頷いた。

「大分濃ゆい時間を過ごせたんじゃない?親密度アップしたね!」

「親密度って、妙な言い方やめろ」

「昨晩は空くんとも仲よろしくやってたみたいだし。やだもう会長ったら、風紀を攻略してどうするつもり?」

乗っ取るの?茶目っ気たっぷりにそう言う清原に動きが止まる。
待て、清原はなぜそれを知っている。っていうか、やっぱ昨日の夜のことは夢じゃなかったんだな。じゃない、そんな事より乗っ取るって、なんて人聞きの悪い…。
固まる俺に対してケラケラと笑う清原に顔が引きつった。本当に侮れない奴。こいつに学園内での事で知らないことはないんじゃないだろうかとさえ思えてくる。
現在の生徒会内部のことも何もかも見透かされているように思うと、途端にこの二人きりで歩く時間が居心地悪く感じた。

「なんで知ってるんだって顔だねえ、まあなんで知ってるかは企業秘密だから教えられないんだけどね。あっ流石に盗聴器とかは使ってないから安心してね」

「安心も何もねえよ、なんで知ってるんだよ…」

「あーやだな!そうやってあからさまに距離取らないでよ、傷つくなあ」

「いや、…早く戻ろうか」

「わあ、すごくよそよそしい!」

ねえねえと執拗に絡んでくる清原から視線を外してげんなりする。やはり俺は風紀の人間とは分かり合えないようだ。清原に至っては分かり合えなくても別に大丈夫だが。

これまで進んできた二人分の足跡を辿って、元来た道を歩いていく。
朝一番の涼しさと比べて大分暑くなってきた。この時間になってようやく夏らしい陽気を感じて、一日の始まりに大きな伸びをした。

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