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「それより。あいつらはどうだったんだ」

「あいつら?…ああ、北条と岩村か」

加賀谷は頷く。そういえばと試験期間のことを思い出すが、流石に試験をバックれるほど落ちぶれちゃいないようで試験はきちんと受けていた。
しかし、やはりというか。あまり芳しくはないようで、先日の返却時には非常に苦い顔をしていたのは記憶に新しい。

「…まあ、張り出しの上位10位以内にはいなかったな」

「あの北条が珍しいな、岩村だってバカじゃなかっただろ」

「岩村はどっちかっていうと秀才だからな、勉強しなければ結果はひどいんじゃねえの」

あいつ意外と根は真面目だからな、と頬杖をつきながら二人を思い浮かべた。
流石に赤点を取るなどということはないとは思うが、…万が一もある。北条はあれだけ大口を叩いてたのだから、むしろ赤点を取ってしまえなど思わないわけではないが、何にしろ役員が赤点を取ったとなったら学園中大騒ぎだろう。全く人騒がせなやつらだ、まああいつらもそれをわかっているからこそ赤点などは取らないだろうか。
不意に生徒会室の扉が遠慮がちに叩かれた。反射的に応答すれば、ゆっくりと開く扉に誰だろうかと視線を移した。

「失礼、します」

「…お前は、相良成」

おずおずと部屋に入ってきたのはまさか、と目を見張る人物だった。加賀谷も予想にしていなかったのか驚いたように目を丸め相良を見つめている。
一体、彼が何の用だ。先日から続く戸際絡みの事件の数々を思い出して、隠そうともせず怪訝な顔をすれば相良は居た堪れないような、そんな顔をして俯くがすぐに顔をあげ、まっすぐに俺を見据えて口を開いた。

「実は、お話ししたいことがあって」

「…それは、俺が聞かなければならない話か」

迷いを見せずに頷く相良に小さく息を吐き出す。そこまでして話したい事ならば追い返すのも憚れる。こればかりは仕方ない、立ち話もなんだからとソファに座るよう促して、俺も向かい側に腰を落とした。

「俺は席を外すか」

「いえ、大丈夫です。むしろいて下さい」

加賀谷は頷くとソファに座るでもなく、俺の傍に立ったまま相良に目を向けた。
準備は整った。相良は緊張しているのか、一度喉を鳴らすとゆっくりと事の次第を話し始めるのであった。


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