8



不意に生徒会室の扉が叩かれた。それから返事をする間もなく扉が開く。
部屋にいる全員がそちらに目を向けると、突如現れた予想にしてなかった人物に思わず目を丸めた。

「失礼する。騒ぎが外まで聞こえてたがトラブルか?」

「加賀谷…あーいや、丁度終わったところ…だと思う」

いくらなんでもタイミング良すぎではないだろうか。風紀委員長様が何の用だと内心穏やかではない俺と、隣でワタワタと慌てる響に目を向けて、次に向かい合う赤城と岩村を見る加賀谷に冷や汗をかく。
二人は加賀谷の登場にすっかりクールダウンしたのか何を言うでもなく、赤城に至っては取り繕おうともせず興味をなくしたようにソファに深く腰掛けた。岩村はその様子をじっと見つめると踵を返して生徒会室を出ていってしまう。
それを加賀谷は視線で追いながら、何か悟ったのか小さくため息を吐いた。

「ただでさえお前たちは最近は問題が多い。これ以上不祥事を起こすんじゃねえぞ」

「わかってるって」

むっとしながらそう返事をすれば加賀谷はその鋭い目で刺すようにこちらを見た。

「…」

俺を、そして隣で黙り込む響を数秒見つめ、もう用はないとさっさと出て行く加賀谷になんだあいつ、と首を傾げる。まさか本当に通りかかっただけなのか。
隣で固まり息を潜めるようにしている響に気がつき不審に思うが、一度咳払いをして赤城に茶でもいれてやってくれ。と響に声をかけた。

「あっ…は、はい」

「…」

ぱたぱたと棚へ向かって行く響の後ろ姿を見つめる。
二人が兄弟だと、響は知っているのだろうか。明らかに響の様子はおかしい。お湯を沸かす響の姿を眺めながら、なんかもう色々がめちゃくちゃだな…と頭が痛んだ。



38/49
prev/next

しおりを挿む
戻る


×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -