13



もじゃもじゃ頭が外れて、そのまま地面に叩き捨てられた。突如現れた金髪頭に俺も、赤城も、浜野も、その場を見守る誰もが言葉を失い場は静寂に満ちた。響のその瞳は、いつか見た時と変わらずに青く静かに燃えている。
目を見開き呆けた顔をした浜野をただ響だけが底冷えするような目で睨みつけたままだった。


「んだよ、その目に、頭…」

「快斗は俺の大切な友達だ。今後一切近づくんじゃねえ」

「なんだよお前、なんなんだよ!」

胸ぐらを掴み、混乱したようにわけもわからず拳を振りかぶる浜野に血の気が失せていく。響は浜野を正面から睨みつけたまま避けようとしないし、このままでは振りかぶった拳はクリティカルヒット間違いなしだろう。そんなこと、させない。これ以上好き勝手させるわけにはいかない。そう思ったら体は勝手に動いていた。

「っ、」

「まて!…そこまでだ。暴力行為は規約違反だが。言い逃れはできないぞ」

響の腕を取り引き寄せた格好のまま、浜野の拳を受ける。
混乱したように目を回しながらも次第に事の次第を理解したのか顔を青くさせる浜野と、驚いたように目を丸める響にほっと息をつく。心臓は嫌に脈打っていた。


「うちの役員、2人に手を出したんだ。覚悟しておけよ」

腹の奥から出てきた声は予想以上に低く威圧感のあるものとなった。
集まる野次馬どもを見渡せばその中に相良成を見つけて、彼にも話をきかなければと思うが今はそこまで手が回らない。

「ぁ、…」

へなへな、と地面に腰を落とす浜野。
すっかり毒気が抜かれたその様子にとりあえずは落ち着いたかと安堵するが、そんなことよりもだ。
申し訳なさそうに俯く響に、お前なぁ。とぼやく。言いたいことはたくさんあるはずなのに、言葉にするのは大変難しく感じて、結局響のその綺麗な金色の頭にぽん、と軽く手を置く事しかできなかった。


「会長、ありがとうございます、」

「ああ。それより、お前その頭…」

「あー…騒ぎになっちゃいます、かね?」

はは、と笑う響は嘘みたいだった。まるで夢のような光景に瞬きを何度かしてみるが目の前の響は響のまま。そりゃそうなのだが…容姿もそうだがこいつの表情や足りない緊張感にいまいち現実感が湧かない。

やはり、というか。響が必死に隠してきたその素顔はとても綺麗なものだった。目が奪われるとはこのことをいうのだろう。太陽の光に反射する金髪と青い瞳がこれからの響の生活を一変させることは予想に容易かった。

騒ぐギャラリーに、このままでは騒ぎは大きくなるばかりだと眉をしかめる。
俺の後ろで大変面倒くさそうな表情をしていた赤城に、追い討ちをかけるように風紀によろしく伝えてくれ、と一言残して、赤城の返事も聞かないままに、掴んだままの響の腕を引いてその場を後にした。

.

26/49
prev/next

しおりを挿む
戻る


×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -