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「おせぇ」

「ああ、遅れてわる…いや。この時間に集合だったろ?」

「集合じゃねぇ。会議開始時刻だ」

「あー、悪かったなそりゃ」

授業終わりから五分も経ってないぞ。今後は開始時刻じゃなくて集合時刻にしとけと悪態を吐く。
何をそんなにピリピリしているのか、席に着くなり咎めるような視線を投げかけられ、はぁ?と首を傾げれば加賀谷はため息を吐き出すのみで何も言おうとはしない。その隣で清原がケラケラと笑っている。なにがおかしいというのか、2人の様子にむっとするがそこで役員会議のメンバーが1人足らないことに気がつく。

合同会議は以前からお互いのナンバー2とナンバー1が集まり4人で話し合うのが決まりだった。
それが今回はどういうことか、生徒会のナンバー2…つまり副会長である北条の姿がまだ見えぬのだ。
おかしいな、遅刻か?あいつが遅刻する事なんて滅多にないのに。

「北条は?」

「知らん。お前のとこの奴だろう」

「それはごもっともだ」

連絡してみようか、ポケットからスマホを取り出して連絡先を開く。北条の名を見つけたところで不意に部屋の扉が音を立てて開かれた。
やっと来たか。スマホを閉じ、視線をそちらに移しながら小言の一つや二つ言ってやろうと口を開く。

「北条、遅刻するなら連絡しろと…岩村?」

「あーごめんね、おまたせー」

そこに現れたのは北条ではなく、岩村だった。
思いがけない人物の登場に目を丸める、それは加賀谷と清原も同じだったようで何も口にはしないものの事の次第を黙って眺めていた。


「なんでお前が…北条は?」

「あー、副会長ね。うん」

言いづらそうに視線を彷徨わせる岩村に嫌な予感がして眉間にシワが寄って行く。急かすようになんだ、と続けば岩村は観念したというように大袈裟なほど大きなため息を吐き出した。

「副会長はこないって」

「は?なにを、」

「代打頼まれたんだよ。忙しいみたいでさ、副会長は」

忙しいって、そんなに仕事も溜まっていないだろう。さらに問い詰めようと口を開きかけるが岩村の気だるそうな表情に言葉が出てこなかった。
一体北条に何があったというのか。聞きたいことはいくらでもあったが今ここで、風紀の目の前でするような話でもない。もう話は終わりだと静かに席に着く岩村に、仕方ないとため息をついた。

「悪いが今回は北条の代わりに岩村が出席する。支障はきたさないようするから今回は目をつぶってくれ」

「生徒会も大変だねえ。まーいーんじゃん?お昼終わっちゃうから早く始めよっか」

清原の台詞に頷く加賀谷、2人の様子に俺も頷いて岩村に視線を移した。なぜあんなに疲れた様子なのか、また後で問い詰めようと心の中で思うのだった。

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