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「それじゃあ打ち合わせ通り、俺は生徒会室にいる。本部にはもともと北条が残る予定だったが岩村、お前が代わりに頼む。戸際と響は適当に校内を見て回ってくれ。何か問題があれば一旦本部の岩村を通してから俺に報告を。なにか質問はあるか?」

手元の書類を捲りながら腕時計を確認する。
先ほど集会で集められた生徒たちはその場で解散し、委員会や部活の出し物があるやつらはそれぞれの持ち場へ戻るなり、また出し物を見て回る生徒は親しい友人同士で集まりまずどこへ行こうかと配布されたパンフレットを眺めている。
俺たち生徒会は本部の人間なので各委員会各部活のトップと風紀と連絡を取りながらトラブルなどの対処に回ることになっている。風紀が現場なら生徒会は事務といったら適当だろうか。本来岩村、戸際、響の三人に風紀について現場を回ってもらい、本部待機の北条に報告してから俺の元にまとまった情報の報告がくるというシステムになっていた。まあ、北条がぶっ倒れ見回りの人数が3人から2人に変わったところで特に問題もない。(多少現場組の戸際と響には負担が増えるがそこは頑張っていただくしかない。)

「はーいはい、俺もめぐると出し物回りたいんですけどー!」

「あほいえ、遊びじゃねぇんだ。お前は大人しく本部で待機してろ」

ぴしゃりと言ってのければぶんぶんと腕を振る岩村は口を突き出して文句を言っている。当たり前だろうが、戸際と響も遊びに行くわけじゃないし現場の方がいろんな情報が錯交して本部待機より大変だろう。それに岩村の言う通りに岩村と響を行かせたらルートを外れてサボりかねない、益々これは2人を行かせるわけにはいかないのである。

「それじゃあ頼んだぞ」

各々の返事を聞きながら解散を言い渡す。
じゃれる岩村と響を余所に最終確認とばかりに書類に目を通す戸際を目に留め、名を呼んだ。

「なんですか?」

「響を連れて少し出し物見て回ってこい。仕事に支障をきたさない程度にな」

「あっはい!わかりました」

頷く戸際に頼んだぞ、と2人分の腕章を渡した。生徒会、と書かれたそれは風紀の腕章とは色が違うので見ただけでわかる。一応2人には風紀にくっついて見回りに行ってもらう予定だが転入生でもある響にもこの親睦会を楽しんで貰いたいのは事実。ほどほどに、ができればそれでいい。腕章を受け取る戸際に響がキラキラした目で話しかけているのを横目で見ながらふと、北条は大丈夫だろうかと考えるのだった。

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