穏やかな日々

1ヶ月ぶりに来日したディーノは、真っ先に愛しい恋人である雲雀に会うために並中の応接室にやってきた。しかし、いつもはそこにある筈の愛し子の姿はない。

「恭弥?」

念のために雲雀がいつも仕事をしている執務机の下を覗いてみるが、やはり愛し子の姿はなかった。校内パトロールに出ているという可能性も考えてみたが、今まで授業中にはほとんど行っていなかったはずだと結論づけた。では、一体雲雀はどこに消えたのだろうか……。

「…屋上か!」

雲雀が以前に屋上が好きだと言っていたのを思い出すと急いで屋上に向かった。

「恭弥!」

いるかどうかも確かめずに大声で名を呼びながらドアを開けると、そこにはヒバードやロールと一緒にすやすやと眠っている雲雀がいた。

起こさないように気配を消し、静かに近寄り隣に腰を降ろして寝顔を見ようと顔を覗き込んだ。すると、そこには眉を潜めてディーノを睨んでいる雲雀が…。

「わり、起こしちまったか……?」

「大声で名前を呼ばれて起きない人なんていると思う?」

暖かい陽射しを浴びながら、ヒバードやロールと昼寝していたのを邪魔された雲雀は不機嫌である。1ヶ月ぶりの再会なので、素直に喜んでくれなくともトゲのない声で「遅いよ」と言ってもらえれば、ディーノとしては仕事を頑張って早く片づけた甲斐があったというものだ。

されど、今の雲雀にとってディーノは恋人ではなく、睡眠を邪魔した敵である。いつトンファーで襲いかかってくるか分からない。

「悪かった!恭弥の気が済むまで相手してやるから許してくれ」

先手必勝と言わんばかりにディーノは土下座する勢いで頭を下げ、償いとして戦闘を提案した。

「…夕飯はデミグラスソースのかかった和牛ハンバーグだからね」

素直にディーノの提案に乗るのも癪に触るので、雲雀はプラスアルファを要求し立ち上がった。

「おう、恭弥の好きな店予約させとく」

いくら雲雀がたくさん食べるとはいえ、それで許されるのならば安いものだ。

「ねえ、早くやろうよ」

強い相手を咬み殺せる機会など早々ない雲雀は、嬉々とした表情でディーノを見下ろしながらトンファーを構えている。だが、肝心のディーノは雲雀の「やろうよ」発言を勝手に「ヤろうよ」に脳内変換して悶えているのだった。





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後半は力尽きた上に着地点が見つからずグダクダです…。
とりあえず、文章力の向上目指して頑張ります。

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