デスゲーム
『やった!通じたぞ!』
『よし!早く助けを呼べ!』
『えーと、もしもし?今どこかの学校に閉じ込められて、ヤバイ事になってて……』
『おい、それで通じる訳ないだろ!もっと真面目に説明しろよ!』
『んな事言ったってどうやって伝えりゃいいんだよ!』
『電話貸せ!俺が話す!もしもし?今どこかの学校に監禁されていて、人が殺されてるんです!刃物みたいなもので刺されてて……』
聞こえて来た声に最初に反応を示したのは赤也だった。
「これって……もしかして丸井先輩とジャッカル先輩?」
『殺人鬼が校内をうろついて……ん?その声……』
『どうした?ジャッカル』
『もしもし?もしかしてそこにいるの……赤也なのか?』
再び聞こえて来た声にユキと赤也は顔を見合わせて頷いた。
「はい、俺っスよ。でもどうして先輩達が?」
「もしかして幸村君達も一緒にいるの?」
『ユキもいるのか。ここには俺とブン太だけだ。それよりお前らは今どこにいるんだ?いや、それより早く警察に通報してくれ』
「どういうこと?何が起きてるの?」
『俺達にもよくわからねえ。けど危険な状況だって事は確かだ。さっき教室で女子高生が死んでるのを見つけた。誰かに殺されたみたいだ』
「ちょっと待ってくださいよ。それ、マジなんスか?」
『俺だって信じたくねえよ。でもあれは本物の死体だった。しかも殺されてからまだそんなに時間は経ってねえ』
「殺人犯が近くにいるかもしれないってこと?」
『ああ。おまけに俺達は今どこかの学校にいるんだが外に出られねえ。この電話も殺された女子高生が持ってた携帯電話だ』
『それにメールに変な事があいてあった』
「メール?」
『未送信のまま残ってたんだよ。あいつに裏切られたとか、このままじゃ殺されるとか、たぶん殺される直前に書いて誰かに送ろうとしてたんだ』
ブン太の言葉に背筋が凍りついた。
だが宍戸がある事に気づいて身を乗り出して言った。
「なあ、もしかしてそこ"氷帝学園"じゃねえのか?」
『お前、誰だ?』
「氷帝の宍戸だ。長太郎も一緒にいる。俺達は今、氷帝の生徒会室にいるんだ」
『氷帝?……ブン太、どう思う?』
『わかんねえよ。俺、氷帝なんか練習試合でしか行った事ねえし。すげえ広そうな学校だとは思ったけど』
「二人が今いる教室はどこなの?理科室とか音楽室とか、何か書いてない?」
『うーん暗くてよくわかんねえけど、パソコンがいっぱい置いてあるぜ』
「って事は実習室か?」
「それかパソコンルームかも」
「それってどこにあるんだ?」
「南棟の地下だよ」
「ブンちゃん、私達今からパソコンルームに行ってみる。だからそこで待ってて」
『わかった。けど気をつけろよ。同じ所にいるんだとしたらどっかに殺人犯がいるかもしれねえんだから』
「うん、わかった」
「じゃあ一旦切るぞ」
微かな電子音を残して電話は切れた。
「なあ殺人鬼がいるって事は美術室のあいつがそうなんじゃねえの?」
「何だ、美術室って」
「美術室に知らない女の子がいたの。たぶん高校生だと思うけど、女の子の首を持ってて……」
思い出しただけで気分が悪くなりユキは口元を押さえて俯いた。
「真っ暗な部屋で生首に話し掛けてるなんて、どう考えたって不審者っスよ」
「ほ、本当にそんな人がこの学校に?」
「ったく、次から次へと訳がわからねえ。とにかく地下へ行くぞ。あいつらがここにいるなら合流しねえと」
「そうだね」
「宍戸さん、この携帯電話はどうしますか?」
「持って行っても今の状態じゃすぐ電源が切れちまうし置いておくか」
「そうですね」
ユキ達は充電中の携帯電話をその場に残して生徒会室を後にした。
→To Be Continued.
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