異変
前の席にいる幸村達から順にバスを降りて行くが、ふと仁王は窓から外を見て怪訝な顔をした。
「なんじゃ、氷帝の奴らまだ来とらんのか」
「本当ですね…確か正面入り口で待ち合わせだったはずですが…」
「?」
不思議に思いながらもバスを降り、辺りを見回すが氷帝レギュラーの姿はない。
「跡部たち、まだ来てないね…どうしたんだろう」
「全く、時間を指定してきておいて遅刻とは、たるんどる!」
「ほんとにここで待ち合わせなのか?」
「そのはずじゃ」
「しかし見当たりませんね」
「遅れるなら連絡くらいありそうなもんだけどな」
「何かトラブルっスかね」
皆不審に思いつつ跡部達を待つ。
「お兄ちゃんに電話してみようかな…」
ユキがそう思った瞬間、
「!」
携帯の着信メロディーが鳴った。
慌てて携帯を取り出し開くと、ディスプレイには景吾の文字が。
「もしもし、お兄ちゃん?今どこにいるの?もう着い…」
「ユキ!今すぐバスを降りろ!!」
「え?」
ユキの言葉を遮り、跡部のどこか切羽詰まったような声がした。
「どういう…」
「早く!絶対ここには来るな!とにか…」
すると電話の向こうで、パンッ!!という何かが破裂するような音がして、ユキは一瞬携帯を落としそうになった。
「な、何なのよ…ちょっとお兄ちゃん、今の音…」
もう一度携帯に耳をつけると、どこか遠くで"跡部!"という叫び声がし、プツンと電話が切れた。
「え?お兄ちゃん?お兄ちゃん!」
声をかけるがツーツーという通話の終了音がするばかりであった。
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