折り入って頼みがある、といった団長の言葉で察しはついていた。おそらく、隣のこの人も。快く引き受けようと口を開いた瞬間、その隣の兵長が言った。

「ダメだ」
「え」
「そう言うな、リヴァイ」

団長の用件は、予想通り王都の貴族が開催するパーティの招集だった。そろそろそんな時期かとも予想していた。仮にも団長補佐だったわたしは何度か出たことがあったし、先方も恐らくわたしが来ると思っているに違いない。

「どうせ調査兵団は見世物みてえなもんだ、お前だけで行けばいいだろ」
「兵長、お言葉ですが。我が調査兵団が国や貴族の出資で成り立っていることを考慮しますと、あの場に出るのもひとつの責務のようなものかと」
「カーヤがいるといないとでは向こうの出方は大きく変わる。こんな言い方をすると申し訳ないが、女性であるカーヤの出席は我々への資金にも関わる」
「てめえ、今までそんなクソみてえなことしてたのか」
「兵長がお考えのようなことは何も」


別件で兵長を呼びに来たハンジにより、話は後回しになった。団長と久しぶりに2人になり、懐かしい気持ちで紅茶を淹れる。

「エルヴィン団長も、態々許可を頂かずにいれば良かったのに」
「はは、そうも行かない。君はもう専属班の人間だからね。直属の上司はリヴァイで、身柄の所有権もリヴァイにある。私がおいそれと使うわけにはいかない」
「所有権なんて。大袈裟ですよ」
「大袈裟ではない。君たち兵士は私の作戦に寄って生きも死にもするからね。君たちの心臓は私の手の中だ」

その言葉に納得した自分がいるのも、何事もないかのように淡々と告げる団長もどこか切ないと思った。
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