「んっ、あ、あぁ、や…ん、リヴァ、イ…やぁ、」

かすかに水音がする。
粘着質なそれは自分の股のあいだ、ひいては、彼の股から聞こえていた。


「…そろそろ、出す」
「ひ、ぁ…っ、んあっ、リヴァ、やあ、わたし、も…っ」

リヴァイはわたしの脚を肩にかけ、前傾姿勢になる。彼のものが更に奥に当たり、わたしに悦楽を伝えた。それだけでも気持ちいいのに、限界の近いリヴァイが激しく腰を振ってくる。

「ひゃあぁぁっ…ん、あっ、だめ、い、く…っ!」
「っ…!!」


ビク、と震える身体。膣内で震えるリヴァイのそれから出たものが、ゴムにぶつかって暴れるのを感じる。
リヴァイはやや乱れた息を直すと、ずるり、とそれを抜いた。わたしはまだ整わない息に付き合って事後特有のだるさを享受していた。







「…リヴァイ、朝だよ。起きなよ」
「……起きてる」
「嘘。早く顔洗いなよ。遅刻するよ」


低血圧とまではいかないが、リヴァイは朝に弱い。それでなくとも、今日は壁外調査に出る日だった。
彼の所属する調査兵団の新兵たちは、今日が初陣となる。その初陣でどれだけ生き残れるかが勝負となるのは言うまでもない。新兵の生存確率は5割と記憶している。



「エレンのこと、頼まれてるんでしょ。気をつけないと」
「気をつけることなんて別にねえよ。てめえに似た面白え顔した巨人がいたら話は別かもしれんがな」


ベッドから出るや否や、頭髪と服装を整えて軍服を着込む。愛用のスカーフも健在だ。
わたしはリヴァイにコーヒーを淹れ、クローゼットから自分の軍服を出した。それを見てリヴァイは怪訝な顔をする。


「仕事あるのか?」
「次の訓練兵の教育カリキュラムとか、担当とかまた決めないとならないし」
「平和ボケしすぎだろ。やってられねえ」
「わたしはそっちに戻ってもいいんだけど」
「いらねえよお前なんか。お前の手が必要になるときは人類が負けたときだ」
「さっきから言いたい放題ね」


悪態を付きながらコーヒーを啜るリヴァイを見やって、わたしも軍服に着替える。他人の淹れたコーヒー。おそらく彼はこの家の外で、そういったものに手をつけないのだろう。彼を慕っている部下…名はなんといったか。オルオだったか。そのオルオが見たら泡を吹くかもしれない。そんな光景だった。
命を賭して壁の外に出て行くリヴァイたち調査兵団と違って、わたしは壁の中で安寧に包囲された生活をしている。訓練兵団。いつか巨人に食われるだけの餌を育成する組織。称しておいてなんだが、餌にならないように育てるのがわたしの仕事だ。




「ちょっとリヴァイ。いつまでゆっくりしてるの。遅れるよ」
「いちいちうるせえ女だな…」
「エルヴィンに文句言われるのはリヴァイなんだからね」

そう言い捨ててみれば、軽い舌打ちが返ってくる。いくらリヴァイと言えども、エルヴィンの小言は遠慮したいらしい。おそらく誰もがそうだとは思うが。
静かに席を立ったリヴァイはジャケットの襟を直し、窓際にかけていた緑のコートを掴んだ。



「くれぐれも気をつけて」
「気をつけなくたって死なん。死ぬわけない」
「大した自信ね」


軽い言い合いのあと、リヴァイはさらりと家を出て行った。自分が死ぬことなどあるわけない、そういう態度の表れのように感じた。
気配に気づいて振り向けば、閉まる戸の音だけが残されていた。彼の体温や香りは、瞬く間に霧散して辿れなくなってしまう。




「…いってらっしゃい」




急に部屋の面積が広くなったような気がした。この部屋におけるリヴァイの所有面積など高が知れているのに。





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -