※擬人化注意




『デンジ大変、大変なんだって、ば、!』

ジムを閉めて帰宅しようとしたらこの電話だ。
慌てたリオの様子に、俺も慌てて急いでリオの家に向かった。


ナギサシティの裏道を、俺はレントラーと走る。この道を抜ければ、リオの家はすぐそこだった。
道を抜け、視界が開くと同時にその小さな家の外観が見える。

「リオ!」
空いている窓から、中の騒ぎが聞こえてくる。


「続け、レントラー!」

低く吠えて返答するレントラーを背に、俺は窓枠に飛び乗り、中に飛び込ん、だ…



「…ハイ?」

次の瞬間、俺と同じように勢いよく飛び込んできたレントラーが俺を潰した。









「ほんとだって、信じてよ!」

「だって、」
「んなことがあってたまるかっての…」

リオの家のテーブルで、俺とリオと、もう一人。向かいあって座っている。
不機嫌そうに非難めいた声をあげた黒い服を身にまとったこの男は、なんと、そりゃあ、馬鹿なことに、自分はブラッキーだと言い出した。
確かに証言を聞けば、こいつの話には辻褄が合うところが多すぎる。
人の家に不法侵入したからという名目でこいつの顔を思い切り殴ってみたがにも関わらず、アザ1つ作らず平気な顔をしているのは、考えたくはないが、「ブラッキー」という種族の防御力の高さを表していると言えば、納得できないこともないのだ。

俺のレントラーがなんの警戒もしてないうえに、何か訴えるような目をしているところからも、こいつがブラッキーであるということが非常に信憑性の高い話であることを示している。
決定打は、いつもの見慣れたブラッキーがこの場のどこにもいないこと。




どうやらブラッキーがこの人間の姿になってしまったことは、確定のようだった。


「わかってくれた?」

リオにぱちんとウインクして、目の前の男は笑った。



城の中は大混乱
(どうしてこうなった)






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