「じゃあ、お前を捨ててレントラーを選んだ方がよかったのかよ」
そっぽを向いたままのリオに問いかけても、返事は返ってこない。
「…あー、」
意味もなく呻いて、まぶたを閉じた。
変わらず無言のままのリオを横目で見た。肩が少し震えていた。
…泣かせたかも、しれない。全然そんな気は無かっただけに気分が悪い。
ちょっとした賭け、と思って聞いたことがこんなことになるなんてそりゃあ数分前の俺は思ってもなかっただろうよ。
「…俺が、お前のこと選んだのは」
「レントラーが俺の、自慢のポケモンだからだ」
ゆっくりと小さな声で言えば、リオの肩が少し動く。
「あいつだってな?自分が俺に大事にされてることをわかってる」
「あいつは頭もきれる」
俺に似てな!と言えば馬鹿と返された。
「もし本当にこんな選択をしなきゃいけないような状況になったら、やっぱり俺はお前を選ぶよ」
「…」
リオがゆっくりとこちらを向いた。涙は乾いたようだった。
「だってさ、あいつはわかるだろうし」
「…何を」
「状況とか、どこに俺が行くかとか、」
「うん」
「わかって、理解して、それで俺のこと追ってくるから」
「…」
わかっていないような顔をして、リオは首を傾げる。その顔を見て、もう一度言ってやる。
「もう二度と会えないって仮定しといてアレなんだけど、」
「…うん、」
「そんな仮定とか状況とかぶっとばして、レントラーは俺のこと探してくれるだろ?」
俺がレントラーを捨てたりするわけないだろ?と言えば、理解したのかリオはああ、と声をあげた。
「俺がどう考えて、どういう状況で、レントラーを置いていったのか、あいつはちゃんと汲んで行動してくれる」
お前のブラッキーだって、そうだろ?
そう言えば、リオは笑った。
だって俺たちはポケモントレーナー
(そしてお前は俺の大事な、)