「やっ、と、さん、かい……」

正直無理だった。人間じゃ無理だった。今は反省している。そりゃあもう美しく足場から落ちたのをボーマンダが飛び出して助けてくれなかったら、今頃は確実にお陀仏だったろうと自分の愚かさを痛感した。周りを見渡す。ボーマンダが咥えて運んでくれたこの3階エリアは、崩壊する前の下層エリアよりも幾分か落ち着いた雰囲気だった。根拠はないが、ここからは安全地帯なんだと思う。広いし、何より大型ポケモンが見当たらない。ハガネールやドンファンなんかを壁に叩きつけることもないだろう。出てきてもあんな倒し方はもうしないと誓う。私は学習するのだ。多分。へたり込んだ足を無理やり立たせ、踏ん張る。

「よし、行こう、ボーマン…」

いくら大型ポケモンが少ないとはいえ、何が起きるかわからないしボーマンダは同行させよう、と思ったそのときだった。

「…ピ」
「…え、」

黄色い体、ピンと立った尻尾。角度的に申し訳程度に見える茶色い体毛に、丸めのフォルム。

「…ピカチュウ?」

こんなところに野生体っていたか、と首を傾げる。こちらの声に反応したのか、ピカチュウはくるりと振り向き、

「ボーマンダ!?」
「ガァッ……」

突然の先制攻撃。バチバチと電流音を響かせ、鋭く睨み付けてきた。

(…なんだこのピカチュウ…!? 速い…!)

それよりも何よりも驚いたのが、ボーマンダがそのまま倒れたことだった。背後で崩れるボーマンダに駆け寄る。

「ボーマンダ! 大丈夫か……っつ」

触れた瞬間、手のひらに走る痛み。静電気だった。急いで薬を用意する。ボーマンダが、こうもあっさりと。なんなんだあのピカチュウ、それしか考えられないユーリの背後で、足音がした。





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