なんだこれは。
窓から入る陽の光に眩しさを覚えて覚醒してみれば、見慣れないベッドと見慣れた顔。私の胸にくっつくようにして寝ているその女の顔をじっと見つめて、昨日何があったか思いだそうとした。

(確かいつもの連中と賭けをやって…)

ああ、そうだ負けたんだ。自信があったからついイライラしてしまって飲みすぎたんだ。その結果がこれとは、自分の阿呆さにもほとほと呆れる。しかしこの状況に関しては非常に理解し難い。なんだこれは。この感じだと多分何もなかったとは思うのだが、もしこの状況でこの女が起きてしまうと非常に厄介なことになる(この女が自ら私に密着することは有り得ないことなのでお互いに寝相の悪さが祟ったのだろう)と踏んで、痛む頭を抑えながら上半身を起こした。

「んっ…」

私が移動したことにより太陽光が彼女の顔に当たる。眩しいのか、小さく声をあげて眉間に皺を寄せた。可愛くない顔だと心底思う。カーテンの無い窓では太陽光を遮ることが出来ない。私はもう一度横になり、女の顔に降り注ぐ太陽光を遮断した。女の顔にかかる髪をそっとすくって、そのまま落とす。皮膚の上でそれは散らばり、女の顔をまた隠す要因となるのだ。

このままキスしてやろうか。
ふとそんな考えが脳裏をよぎるが、その考えが彼女との関係の惰性によるものなのか、この状況と性差によるものなのか、それとも、なけなしの彼女への愛なのか。

「一番最後のは一番、考えたくないな」

この私が愛などと。しかもこんな小娘に。
起きる気配の無い女をそっと抱きしめるように腕をまわして、それでも距離はあけたままで、目蓋を閉じる。いつかこの距離がゼロになればいいと、そうどこか思っている自分を自嘲しながら私はそっと唇を寄せた。



1 、
(これが恋になる前に、)






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