「…ま、そうですよね、普通に…」

ライモンシティについてギーマさんを見つけてみれば、彼は観覧車前のベンチで一人、じっと横たわっていた。いくらライモンがテーマパーク街でも、観覧車前のエリアはこの時間になると一気に人気が少なくなる。ベンチで横になるギーマさんからはむっとするほどのアルコールのかおりがして、どうせまたヤケ酒でも煽ったのだろうとと呆れながらも溜息をついた。それでもこんなに動けなくなるまで飲む彼は珍しいかもしれない、そんな思いを抱きつつ彼の肩をそっと叩いた。

「ギーマさん、大丈夫ですか」
「…おう、来てくれた、のか」
「一応呼ばれたんで」

ライブキャスターをなぜか右手でぎゅうと握り締めているギーマさんはどこか可愛く見えた。カメラはちょうど掌で隠されていて、何も写らなかったのはこのせいかと悟る。ごろりと仰向けになり、左腕を持ち上げて額に当てるギーマさんはアルコールのせいか顔が赤く、月明かりのせいなのか遠くから届くイルミネーションのせいか、どこか普段より艶っぽいような、それでいて子供っぽいような印象を与えていた。

「それで、どうしますか」
「…運べよ」
「は?」
「見りゃわかんだろーが…私は今この…通りなんだよ、…運べ、お前の仕事だろうが」
「…は?」
「運べ」

運べってどこに。誰が。…いや、私か。体調は絶不調だろうに、あくまで高圧的に指示してくるギーマさんは先ほどした画面越しの会話が嘘のようで。強がりな人だよなあ、と思いながら頭を軽く撫でてやれば額に当てた手の隙間から覗く目が鋭く光った。

「私あなたの家知らないんですけど」
「…まじかよ」
「まじです」
「…じゃあお前の家で」
「えっちょっ…とそれは、」
「早く」

それきり目蓋を閉じてしまったギーマさんを放っておくわけにもいかず、先ほど乗ってきたウォーグルをもう一度出す。ウォーグルはボールの中で会話を聞いていたのか、どこか呆れたような視線を私に送って切なそうに鳴いた。

「ごめん、2人って乗せられる?」




4 、
(次にあなたに触れてみます)






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