ある夜のことだった。時刻は日付が変わる少し前。突然ライブキャスターの通信音が部屋に鳴り響き、風呂上がりだった私は慌ててそれを手に取る。カメラ部分を押さえ、けして自分が写らないようにしながら通信のスイッチを入れた。

「もしもし?」
『もしもし…、よう、元気かあ?』
「…ギーマさん?」

画面は真っ暗だが、聞こえてくる声は間違いなくギーマさんのものだ。こんな時間に一体なんだ、と心の中だけで文句を言いつつも紡がれる言葉をなんとか拾おうと努力する。ーマさんはいつもの高圧的な威張ったような、自信に満ち溢れたようなはっきりとしたものの言い方をするのに、今日はどこか弱弱しかったのだ。

「もしもし、ギーマさん? 何かあったんですか?」
『何かもなにも…ねーよ! …お前こそ、なんだ、画面が真っ暗じゃねーか…』
「いやそれはギーマさんもなんですけど、どうしたんですかこんな時間に」
『私は…ちょっと今外に出てて…さ、っ、…』
「…ギーマさん!?」

何かどさりと、質量のあるものが倒れこむ音がした。依然として真っ暗な画面を映し出すライブキャスターの画面を食い入るように覗き込み、何か写らないかと必死に探す。しかしその画面には深い闇しか写さず、ただ風呂あがりの私の顔を反射するだけだった。

『今…さあ、ライモンに…』
「ライモンですか? わかりました、すぐ行きます」

急いで髪をまとめ、適当な服に袖を通す。
今が暖かい季節でよかった。



5 、
(最初にするのはいつもあなたの認識、)





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