White 2 ……なんて、強がってはみたものの。 「はあぁぁ……」 パタン、と後ろ手に屋上の扉を閉めると、臨也は盛大にため息を吐いた。 正直、不安で不安で仕方がない。静雄の気持ちが解らないのだ。 静雄は元々お喋りではないし、自分の感情を上手く言葉にすることも不得意。 しかも臨也の知る限り恋愛経験もなく、付き合うという行為自体よく解っていないだろう。 自然消滅――恋愛経験の浅いカップルによくある話だ。 臨也は今までに数人の女生徒と付き合ったことはあるが、恋愛というより人間観察のようなものだった。本気で好きになったのは今回が初めてだ。 だから、恐れている。 このまますれ違い続けて、バレンタインのあの告白が無かったことになってしまうのを。 「あ、」 教室に戻る途中の廊下で、前方から歩いてくる静雄を見つけた。 授業と授業の間の小休憩で、腕には教科書やノートを抱えている。どうやら移動教室のようだ。 静雄のほうも臨也に気付いたようで、目を少し丸くさせた。 シズちゃん、と呼び掛けようと口を開くと、静雄はすっと目を逸らした。気付かなかったフリをして、そのまま横を通り抜けようとする。 ズキリ、と胸に何かが突き刺さった。もしかすると刃物よりも鋭利かもしれない。 今まで静雄に付けられたどんな傷よりも深く、臨也の胸の内をえぐった。 「…シズちゃん」 「……」 通り過ぎた静雄に呼び掛けると、ぴたりと足を止めた。体は前に向けたまま、顔だけこちらを向いている。 不機嫌そうに眉を寄せた顔が、臨也を睨んでいた。 「シズちゃん、明日は何の日か覚えてる?」 「あ?……ホワイトデー、だろ?」 「うん、そうだけど、違うでしょ?」 「何言ってんだ手前」 授業遅れるぞ、と言って静雄はまた前を向いてしまった。そのまま次の教室へと向かう。 「……記念日、なのに」 ぽつり、臨也の呟いた言葉は、始業のチャイムに掻き消された。 臨也の横を生徒達が慌ただしく走り抜けて行く。 臨也はそれを、ぼんやりと眺めていた。 明日は、ホワイトデー。 恋人になってから初めて迎える記念日だ。 → Next.Liz こんな感じで!!笑 かなり照れ屋でツンデレなシズちゃんは 臨也くんの前ではまったく 素直になれませんv笑 シズちゃんの恋愛スキルは 中二くらいだと思います← ではお次はリズさーん!! |