おはなし | ナノ




4月1日



※来神設定です




「僕、セルティなんて大嫌いだ!」

「は?」

静雄が自分の机で頬杖をついて窓の外を眺めていると、新羅がやってきて開口一番こう言い放った。
友人の口から吐き出されたありえない言葉に、静雄は目を真ん丸くさせる。
新羅はいつもと同じ、惚気を喋るようなにこやかな表情で静雄を見ている。とても大嫌いなんて言いそうにない、幸せな顔。

「…新羅、ついに頭おかしくなったか?」

「はは、まさか!というかもし頭がおかしくなったとしても、僕がセルティを嫌いになるなんてありえないね!」

「……わけわかんねぇ」

静雄は、新羅の言っていることの意味がまったく理解できなかった。
だんだんと腹が立ってきて、眉間にシワが寄るのが解る。新羅はそれを見て、慌てて口を開いた。

「きょ、今日がなんの日か解らないの?4月1日だよ!」

「4月、1日…?」

「エイプリルフールだよ!」

ああ、と静雄は気の抜けた声を漏らした。眉間のシワが無くなってゆき、新羅は胸を撫で下ろす。

「だから、僕は静雄のこと嫌いだよ」

「ああ、俺も新羅のこと……嫌い?だ」

「えっ、なんでそこ疑問形なのさ!いっつもケガの手当てしてあげてるのに…」

「わかったわかった。じゃあ大嫌いだ」

「…なんか腑に落ちないんだけど…」

「なに?2人とも喧嘩でもしたの?」

静雄は、いきなり後ろから声がして勢いよく振り返る。

「ちげぇよ。手前には関係ねぇよ」

「えー、ひどいなぁシズちゃんは」

肩をすくめてやれやれと言わんばかりにため息をつく臨也に、静雄の苛立ちはまたも上昇する。

「あーうぜぇ…!手前なんかなぁ、」

「手前なんか?」


「手前なんか、死ぬほど大好きだ!!」




「……は?」


その瞬間、教室の空気が凍りついたのは言うまでもない。

クラスメイトの好奇の視線が集中する中、新羅だけが楽しそうににこにこしていた。

「……教室もどる」

そう言うと臨也は、くるりと踵を返し、静雄に背を向けてスタスタと教室を出て行った。
その耳が真っ赤になっていたのを、新羅は見逃さなかった。

「なんだよあいつ、わけわかんねぇ」

「うーん…多分、今日がエイプリルフールだなんて覚えてないんだよ」

新羅が楽しそうにそう言うと、静雄は一気に顔を赤くさせた。

誰も、今日がエイプリルフールだなんて臨也に教えませんように。
心の中でそんなことを思いながら、新羅だけがこの状況を楽しんでいた。





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もう2日過ぎちゃってますけどね!笑
エイプリルフールネタでしたv
後日談とか書きたいです^^


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