善法寺くんと鶴町くんの保健委員会コンビが先に立ち去った。すると、食満くんは小さく溜息をつくとわたしに零す。


「伊作は本当に根っからの不運体質というか……そして同じ委員会の伏木蔵も不運でな。ハルが怪我の一つもしていないのが奇跡なくらいだ」
「はあ」
「本当、運はいい」
「喜八郎お前が言うな。だが実際、今回は運が良かったものの、あまり保健委員関係には無闇に近寄らない方がいいぞ。避けろという訳では決してないが、まあ助言だ」


多分わたしが一般人だからというのを前提に、こういう風に言ってくれてるんだろうなあ。食満くんは世話好きなのかもしれない。なんて的外れな事を考えながら、口では全然違うことを紡ぐ。


「うーん、不運とかよくわからないけど、それで鶴町くんに会えた訳だし善法寺くんやキハチローくん、食満くんとも色々話せたから、逆に良かったかもな」
「そ、そうか?」
「うんそう。物は考えようですよー」


前向きに考えないとやってけないからね、加えてこの世界っていうか状況だともうポジでいくしかないですよマジで。


「……なんか、お前ってさ……」
「(ん? 食満は何を言いかけてんだ? まあいいか)じゃあ皆さん、さよな、」
「あ、この方お借りします」
「えっちょっまっ、」


さっきの穴から持ち上げられた時と同じように、キハチローはわたしを米俵のように肩に担ぐと走り出した。
耳の端っこで、食満の「喜八郎てめえ待ちやがれ!!!」という怒声が聞こえていた。

嗚呼わたしは何処に行くの。





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