キハチローは恭しくわたしに頭を下げると、これまた丁寧に謝った。


「ハルさん、危ない目に合わせてすみませんでした。着物も身体も汚してしまってごめんなさい」
「その言い回しはやめろ」


と、食満くんが突っ込んだ。(確かにわたしも目が点になりかけた表現だが)
まあ幸い、手足や着物は土で汚れてしまったが、これといった怪我や痛みもないのでわたしは手の平をキハチローに向けてひらひらと揺らす。気にするなのジェスチャーだ。


「あーもう大丈夫ですから。怪我もしてないし、今後わたしも気をつけます」
「……そうですか」


何か言いたげに、猫よろしくジッとわたしの顔を見つめるキハチロー。女の子みたいな顔つきをしているからなんか変な感じだ。

さてそろそろ、下着や制服、そしてこの汚れた着物でも干しに行くかと自分の部屋に帰るか。
わたしは鶴町くんに話し掛ける。


「初めましてが穴の中ってのも面白かったね、鶴町くん。それじゃあまたね、委員会のお手伝いがんばってね」
「ふふ。お姉さん、またお会いしましょう〜」


善法寺くんも色々気をつけて委員会の仕事がんばって、と言うと彼は、僕は大丈夫ですよ〜とまた呑気に笑っていた。あんまり大丈夫じゃないと思うぞ、わたしは。




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