「で、なんでハルさんもこんなところにいるの? もしかしてあなたも落ちた?」
「うん。しかも一番乗りでした」
「そっかあ」


この穴は、四年の綾部って忍たまが掘ったものに違いない。ごめんね! と善法寺くんがわたしに謝った。


「穴じゃありませーん、タコ壺のターコちゃん42号でーす」


うわっまたなんか出てきよったぞ!
でかい杓文字みたいな木の棒を担いだ子が、穴の淵からわたし達を覗き込んでいた。


「おー、今日は不運委員会じゃない。珍しいなー」
「きはちろー! さっさと彼女を助け上げてやれ!! あと僕たちの分の縄も降ろして!!」
「注文の多い人だなあ」


キハチローとやらは一瞬視界から消えると、いつの間にかわたしの目の前に現れた。
彼は「よっ」なんて言いながら、ひょいとわたしを担ぎ上げて気付けば簡単に地上に戻ってこれた。


「……思ったより捕獲は簡単に成功したな」
「え、なんか言いました?」
「いやなんでも」


それより顔、汚れてますよと言われて初めて自分の全身がひどい土埃まみれだと知った。うわーこりゃ洗濯しないとだめだ。


「、うお」
「よしこれできれいになった」


しゅるとピンク紫色した頭巾を外すと、キハチローはごしごしとわたしの頬を拭いてくれた。有り難いんだけど、キハチロー、割と乱雑だね痛い皮膚いたい!!





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