「あの〜……」 「待って、動いちゃだめ!」 「こんなきれいな髪の毛、いじり甲斐があるわ〜」 「ねっ、化粧の作法もしていい?」 (ヒイ!!)
まるでリカちゃん人形のように、ちょこんと座ったまま弄り倒されているわたしwhy。 女の子らしいっちゃらしいけど、みんな嬉々としてわたしに構いすぎでしょ……!! しかも何だって、化粧の? 作法? 何それ怖いよやめてくれえええ!!
「ね、可愛くするだけだから!」 「そうでしゅ心配しなくても大丈夫でしゅよ!」 「いやあの……」 「はいはい皆さん揃って何をしておりますか」
この優しそうなおばあちゃん声は!
「「山本先生お帰りなさい!」」
それまでわたしを囲んできゃあきゃあしていた女の子たちは、すくっと姿勢を正すと総じてきれいに礼をした。おお圧巻。 そしてわたしもワンテンポ遅れて、立ち上がり挨拶をする。
「山本先生、こんにちは! ハルです、覚えていらっしゃいますか……?」 「あの時のお姉さんね、はい覚えていますよ。何か困ったことはないかしら?」 「(覚えててくれた、うれしい!) いえ何もないです! 先生、この前は着物や手ぬぐいなどお貸し下さって本当に、ありがとうございました!」
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