――勘右衛門side――



頬杖ついて外を眺め続けている兵助を見て、座学の時間に集中してないなんて、本当に珍しいこともあるもんだと変に感心していた。
一体何を見てるんだと、ちらと俺も外を見遣ればそこには、一年坊主たちと駆け回る……あれは確か、朝の女の子だろ。
先日キツく当たったことでも気にしてんのかなと予想してたけど、木下先生に当てられても気付いてないなんて無意識の内に目で追ってるんじゃないかと推測すれば当たり。立たされても、何で自分はぼんやりしてたのか皆目判らないという顔をしている。いやまったく面白いもんだよ、兵助ってさ。

その兵助の座学態度により、みんなよりも遅れてランチに行くと、ハルさんが普通に居て、ああ本当にこの子働いてんだなあって思った。
予想外だったのは、女の子がお姉さんだったことだね。けど普通に接してと言われたし、俺も堅苦しいのは嫌いだから丁度よくても兵助はそうはいかない。ま、元来人見知りの気が強い奴だから仕方ないか……と香の物に箸を付けてたら、ハルさんがトンと小鉢を置いてくれた。


「……ありがとう、ハル、さん」


俺はどっちかといったら敏感な方だから、兵助が座学そっちのけで外を見てた時点で、あれっ?と思ってたんだよ。でもこれで確信したね。
ハルさんが兵助の好物をくれたこと。たまにハチだってあげてるから、そんなのはどってことない。
俺が言いたいのは、あの無表情で人見知りの兵助の耳が、赤く色付いていた意味について。なんて、それこそ野暮かな?





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