「あー、じゃあわたしのあげようか。はいどうぞ」 「!! いいんですか?」 「うん。(わたしが食べるより豆腐好きな君が食べた方が)おばちゃんも豆腐も喜んでくれると思うし」
隣で勘ちゃんは、よかったなー兵助!俺はあげないけど! と言ってて思わず噴きそうになった。成る程バランスが取れてるな、この二人。
「…………あ、の」 「ん?」 「俺、豆腐、好きなんです」 「そうみたいだね(見ればわかるよ久々知よ)」 「だから………ありがとう、ハル、さん」
無表情を作ろうとしてるんだろうけど、髪の毛を上げていたのが残念だったね。耳が赤くなってるのは流石にわたしでもわかったよ。その姿を見て一気に可愛く思えたから、わたしも漸く二人の前で笑うことができた。
「はは、どう致しまして」
… … …
その夜。 一日目にして、一年は組の良い子たちと隠れんぼをしたり、初の食堂での手伝いをしたり、また色んな人と接したからか、どっと疲れが出たわたしはお風呂もそこそこに、早々に布団に潜り込んだ。
伊助、庄左ヱ門、喜三太、兵太夫、三治郎、虎若、団蔵、金吾。 一年生はみーんな元気だったな。かわいかったなー小さくて、明るくて。
馬鹿力の七松、食満くん、あと転職のシオエさん。六年生にもなると力が強すぎるからあまり関わらないようにしよう特に七松、身体が持たない。
時友くん、川西くん、池……池田くん?だっけ、あと能勢くん。 あの子たちも良い子だったな。何年生かわかんないけど。
で、最後に、勘ちゃんと久々知くんか。 そういや初めて会った時にいた、雷蔵の双子の片割れにはまだ会ってないな。
――なんて、一日を振り返りながら今日会った人々の名前と顔を一致させている内に、眠りについた。
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