「……えーと、なんでしょう」 「うん。あのね、この前はごめんね!」
頬杖ついていた片割れは、わたしが側に寄るとぴしりと姿勢を改め、更に謝罪をしてきた。 いきなりの事に着いていけず、ぽかんとしていると彼はニコニコと続ける。
「俺たちの勘違いで傷付けちゃったよね。本当にごめんなさい」 「あー、もう気にしてないし、あの時はそう思われても仕方なかったので……」 「俺も酷い言い草をしてすまなかったな」
うお。ククチが喋った。 それまで、メニューすら片割れが言ってた程だんまり決めてたククチは、真正面から真っすぐわたしを見ると、すっと頭を下げた。
「いやククチくん頭上げて! わたし全然気にしてないし仕方なかったし、寧ろ逆にすごいよね! ちゃんと警戒心持つってことは、しっかり忍者を勉強してるって事なんでしょう多分よくわかんないけど! うんそういう訳なのでホント気にしないで下さい!」
謝られるという行為に全く慣れていないわたしは、以前の雷蔵とはっちゃん達の時と同じようにあたふたと支離滅裂なフォローを入れまくる。 ククチは元より、隣にいる片割れくんも矢継ぎ早に紡がれるわたしの言葉をぽかんとしながら聞いていた。
「……ふはっ」 「あはははは!!」 「え、ちょ、なに」
一気にまくし立て終わると同時に、二人はそれぞれ笑い出して次はこっちがぽかんとする番。
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