「じゃあBセットは君たちだね、はいどうぞ」 「ありがとうございます。あ、おれ……じゃないや、僕は池田三郎次です」 「僕は能勢久作といいます。食堂の手伝い、頑張って下さいね」 「おお、ありがとうね能勢くん」
ペこりと礼儀正しく会釈をしていく池田くんと能勢くんとやら。 ……なんていうか、あれだな、学校の内容が内容だからかも知れないけど、ここの生徒さんはみんな礼儀がなってるよね。 能勢くんに言われた労いの言葉により、あっさりとモチベーションを上げられたわたしは、賑やかになっていく食堂を回していく。 色んな生徒や先生が入れ代わり立ち代わりと繁忙していた食堂もだんだんと落ち着いてきて、おばちゃんにハルちゃんも食べなと言われる頃に奴らはやってきた。
「おばちゃーん、Bセットふたつ下さーい」 「はー……」 「あっ!! あの時の!!」
カウンターから顔を出すと、正直いって会いたくなかった五年生、しかも一番突っついてきたククチともう一人の黒髪がそこにいた。 わたしは曖昧に返事をかえすと、おばちゃんにBセットふたつと告げるやいなや、そそくさと料理の盛り付けに回ろうとした。が。
「ねー、ねー!」
ククチではない方がぴょこぴょこと高く結った髪を揺らして、カウンターに張り付いたままわたしを呼び出す。 いや、だからね、わたしなるべく君たちと関わりたくないのよ。 というモノローグは当たり前に届かず、しぶしぶ彼らの方へ近づいた。
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