最後の一人、皆本金吾くんとやらはどこにいるんだろう。
と疑問符を飛ばしてたら、うひゃああという何とも不思議な悲鳴が聞こえてきた。
庄ちゃんが「金吾の声だ!」と叫ぶと、みんな一斉に走り出す。何事だろうか!


「――って、七松小平太先輩じゃないですか」
「よう黒木! いやなに、裏裏山までひとっ走りしに行こうかと思ったらな、草村がもぞもぞ動いておったので捕まえてみた!」


そしたら金吾だったのだ、あっはっは!
笑い飛ばすナナマツ先輩とやらのたくましい腕で、体をがっつり捕まえられている若干涙目な男の子が、皆本金吾くんか。


「七松先輩ひどいですよ、僕が一番最後に残ってたのに見つかっちゃったじゃないですか!」
「なははは! 細かいことは気にするな!」


深緑色の制服だからきっと六年生なんだろうけど、ナナマツ先輩はやけに陽気な人だな。あと金吾くんと対比しても中々でかい。


「きみが皆本金吾くんだね、見付けた」
「あ、お前は朝の女子じゃないか。なんだ、早速一年坊主たちと隠れんぼしてたのか?」


金吾くんの名前を呼んで挨拶しようとすれば、必然的にナナマツとも向かい合う形になった。どうでもいいが、ナナマツ、早いとこ金吾くんを解放してやれよ。首絞まってきてるよ。


「あ、はい。土井先生と山田先生の計らいで、隠れんぼ兼自己紹介を行っている最中です」
「ふーん、面白そうだな、私も混ざろう! あ、私は七松小平太、六年生だ!」


よろしくなーっと、明らかに一年生たちと同じ年代だと勘違いされたわたしの肩をバッシバッシと叩きまくる七松。
フランクなのは結構だが、ちょっいたた! マジ痛い! 何この人めっちゃ力強いんですけど!!





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