「落ち着いて。上級生は、より忍に近いから疑心が強いだけなんだ。私が後でしっかりと説明しておくから、ハルが気にすることはない。」
「……ほんとですか……。」
「本当だ。だから泣きそうな顔をするのはやめてくれ。な?」


頭をぽんぽんと撫でられると幾分心が楽になった気がする。わたしも一瞬にしてパニックになりすぎたな。深呼吸しないと。


「落ち着いたか。」
「だいじょぶです……土井先生、取り乱してすみませんでした。」
「謝らなくていいよ。」


今度こそ食堂に行こうか、私もそろそろ腹が空いたな。
そういって、土井先生は笑って、わたしの隣を歩いていく。気を遣ってくれているってすぐに判った。


(土井先生やさしいなあ。わたしも頑張らないと駄目だな! でも、さっきの人たちにはあまり会わないようにしよう……。)


… … …


――その頃。


「兵助ちょっと突っつきすぎでしょ。あの子絶対普通の人だよ。」
「でも、勘右衛門だって最初怪しいと思っただろ。」
「僕は土井先生から矢羽根がくる前から、なんとなく違うって判ったけどなあ。」
「私も変な気は感じられなかったが、ちょっと威嚇してしまった。」
「けど誤解だったんだよな。悪い事しちまったよなあ。泣きそうな顔で行っちゃったし。」


竹谷のその言葉で、五人は自然と声を揃えた。


「「謝らなきゃな……。」」






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