そうだよ。その辺の人の家で住み込みで働くってのとは訳が違うんだよね。 仮にも忍者になるべく学んでる人たちからすれば、わたしは明らかに怪しいし、学園長先生にも釘刺された通りくの一だと疑われても道理だよ。 別に悪いことをしている訳じゃない。だけど、彼らの訝しげな眼差しに、なんだか悲しくなってきた。
「……あの、なんか、すみません。でも決してわたしはくの一なんかじゃないです。怪しくてごめんなさ……っ!」 「あっ、ハル君!」
居た堪れなくなって、逃げるように彼らの横を走り去る。意味不明なことを言い過ぎて、言い訳にもなってない。土井先生がわたしを呼んでいるけど振り返ることもなく、明かりがある母屋へ急ぎ進んだ。
――なんでここに来たのかな。 学園長先生はああ言って下さったけど、これから出会う人に怪訝な目で見られるのはちょっとキツいなあ。
「ハル、待ちなさいハル!!」 「土井先生……。」
ぐいっと腕を掴まれて動きを止められた。振り向くと視界の端の方、わたし達を見ているあの五人組がある。
「大丈夫だハル、君がくの一じゃなくて普通の女子だという事は、見ていてわかるから。」 「でも、だってわたし、」
自分でもわかるんですよ。 怪しまれて当然ですよ、こんなの。
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