結局、仲が元通りになった後は、わたしの手から袴を受け取り金吾自ら喜三太と共に洗濯をし始めたので、手持ち無沙汰は否めなかったがこれもまた良かった。川辺にならぶ丸い小さな背が楽しげに揺れるのは、わたしにとっても喜ばしいことだったから。
「よっし、じゃあ干しに行きますか!」 「はあーい」 「はいっ」
… … …
はたはたと揺らめく水色の着物を三人で見上げる。お天道様も気を利かせてくれたようで、今日中に金吾の着物がちゃんと乾くのは明白だった。喜三太もほっとしたように、へらりと笑って言う。
「ぼくねえ、なめさんも大好きだけど、やっぱり金吾も大好きなんだあ。だから、金吾に嫌われたら、どうしようって、ほんとうに怖かったよ」 「うん、ごめんね喜三太。ぼくもかっとなって、ひどいこと言ったよね」
手を繋いで空に浮かぶ着物を見上げながらそんなことを話す二人を見て、なんてやさしい会話なんだと。今のわたしがこういう風に素直に話せるかと言えば、必ずしもイエスではないだろう。本当に、この学園では学ぶことがたくさんあるなあ。 なんて事を一人考えていたら、ふわああとあくびを洩らす喜三太。それにつられて、金吾とわたしも欠伸をふわり。あ、そうだ。
「ちょっと昼寝してきたら? 今日はもう授業ないんでしょう」
そう提案すれば金吾と喜三太は顔を見合わせて、じゃあハルさんも一緒に昼寝しましょうと両腕にしがみつかれてしまっては、敵いっこないなあ。
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