でも一つ気になる事がある。
金吾が怒る理由は尤もで、ならば喜三太にちゃんと訳を話せばもっと丸く収まったのではないかと。


「いぶ鬼は……どくたまだから」
「ドクタマ、はあ」


そういや文を受け取った時、彼も自分のことをドクタマと称していたな。その時はわたしは、ああ忍術学園と同じような忍者育成学校が他にもあるんだなあ、ぐらいにしか思わなかったのだが。


「どくたまっていうのは、忍術学園と対立してる城の教室の生徒で……だから、ぼくといぶ鬼の仲は秘密なんです」
「その子たちとは仲良くしちゃいけないの?」
「そういう訳ではないですけど、少なくともぼくらと仲良くしてるといぶ鬼は怒られちゃうから」


言い切ると頭を垂れる金吾の背を撫でた。隠さなければいけない友達がいるなんて、おかしな話だと思った。


「……あの着物、明日のために用意してたのに、だめになっちゃったなあ」
「だ、駄目じゃないよ。今から洗って干したらきっと間に合うよ」


幸い今日は晴天だし。と励ますように言っても一度削がれた気持ちは簡単に元通りに膨らまないのだった。ついには膝を抱えて丸くなってしまった金吾の隣で、喜三太と金吾、どうしたら修復できるのか考えて、わたしはすっくと岩から立ち上がる。




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