――久々知目線――
よりによって、今一番顔を見づらい時に、委員会活動になるとはついてない。
「――助、兵助?」 「あ、はい、すみませんぼんやりしてました」 「どうした、大丈夫か?」
お前が委員会活動中にぼーっとするなんて珍しいな。と土井先生は苦笑された。
「よし、火矢の補充もできたし、今日の委員会活動は終わり。夜遅くまでありがとうな、解散していいぞ」 「「はーいっ」」 「はい」
タカ丸と伊助と三郎次はぺこと先生に頭を下げると焔硝倉から出て行った。俺は最後の壷を棚に押し込めると、たまらず口を開いた。
「土井先生とハルさんは、」 「何もないよ」 「っ!」
振り返ると困ったように眉を下げた先生が、やっぱり誤解されていたかと肩を竦めた。
、、 「あれはハルであってハルでないよ」 「どういうことですか」 「物の怪さ」
ハルが近付く度、不自然な甘い匂いが立ち上るんだ。あれは物の怪が身を隠すために態と発しているんだろうが、ハルにはきつすぎたようだ。
「どうしたら、いつになったら前のハルさんに戻るのですか」 「原因であるものを対処しなければならない。私にも思い当たる節があるし、何より早くしないとハルの身体が壊れてしま、」 「そんなこと、絶対させない」 「……そうか」
兵助はあの子を随分慕っているんだな。と土井先生は何故か悲しそうに笑った。その意味を知るのはずっと後のことだったけど。
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