ハルさんは区切るようにゆっくりそう言いながら、くゆりと腰を揺らしている。信じられないが、俺の下腹部の辺りで、だ。下から見上げる彼女は、口を半分開いてはあはあと淀みなく熱い息を吐いて、今にも泣きそうに瞳を潤ませている。
正直、彼女の腰がゆるゆると動かされる度、股間が僅かに擦れるからそういう気分になってきて。


「――…いいんですか?」
「いいよ、いい、から、お願い、だいてよ……」
「案外、やらしい人だったんですね……ハルさん」


がっと腹部に置かれてた彼女の腕を掴んで反転させる。ぽふんとハルさんの髪が俺の布団に波打って、頬を桃色にした彼女が俺を見上げてて、口吸いを求めるように頬に手を添えてきた。ごくりと生唾を飲み込む。
俺がこの人を抱いたと知ったら雷蔵に間違いなく半殺しにされるだろうし、鉢屋からは厭味を延々と言われ続け、兵助に至っては絶縁される勢いだろうけど、俺も男だからさ。据え膳食わぬは、とか言ってる場合でなく止められない衝動もあるよな。


(ごめん兵助、雷蔵、鉢……鉢屋は別にいっか)
「勘右衛門くん……?」
「あ、ああ、そう急かさないでくださいよ」


ちゃんとしてあげますから

そう俺が囁くと、満足げに微笑んだ彼女の目が変に吊って見えた気がした。さらりと広がった髪に指を通して、半開いた濡れる唇まであと一寸。


「勘右衛門ちょっといいかー、明日委員会の収集があるから彦四郎に……え、」
「あ」


時が止まった。




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