――勘右衛門目線――
「しほーろっぽーはっぽー、しゅーりっけんっ」
自室にて。 兵助は土井先生たち火薬委員会の集まりで居ないので、暇だから本でも読んでいようかと思ったがコレこの前読んだやつだった。雷蔵たちは風呂に行くって言ってたし、もうとっくに風呂も入って寝着に着替えた俺は、敷いた布団の上、暇を持て余して鼻歌なんかを歌いながらゴロゴロしていたら。
スパン!
いきなり部屋の襖が勢いよく開いた。びくっとしてそちらを見遣れば、何故かハルさんがそこにいた。後ろ手に襖を閉めると、何も言わずにずかずかと俺らの部屋に入ってくる。
「え、えっとハルさん? 部屋をお間違えではないですか?」
彼女の部屋と俺らの部屋は空き部屋一つ開けて一番近くにあったから、きっと寝ぼけて間違えてここに足を踏み入れたんだろう。
「勘右衛門くん、」 「あ、あの、」
違う。寝ぼけてなんかない。 だって彼女は、ごく自然に、仰向けでいた俺の上に跨がってきたから。何この状況。つまり、騎乗位です。
「ちょっ、ハルさ、」 「からだが熱くて、しかたないの……。勘右衛門くん、あたしを、だいて……?」 「――っ、」
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