――食堂にて――



「おのこしは許しまへんでー!」


きっぷの良い食堂の主の声が響き渡る夕食時。隣には少し若い女が、同じように三角巾を被り皆の食事を用意している。
下級生の食事が一通り終わった頃、ぞろぞろと顔を出したのは五年生と六年生であった。話からするに合同演習明けだそうだ。


「腹空いたなー」
「おばちゃんこんばんはー」


夕食はメニューは一つしかないので食堂を利用する人は各々席に座るのだが、カウンターの前を通る際ちらちらとハルが今日もちゃんと食堂にいるか、仕事をこなしているか確認していく。


「ハルー! 俺の飯は大盛りで頼むな!」
「俺はギンギンに冷や飯で頼む」
「はいはい」


このように声をかける者もいるが、それは最上級生だからできること。五年生は、特に久々知兵助や鉢屋三郎あたりは何か言いたげにちらちらハルに視線を寄越すだけであった。


「はいお待ちどおさまー」


ハルの声が響き渡る。カウンターにはいくつもの盆が並んでおり、おばちゃん得意の手料理からは美味しそうな湯気。それぞれが席から立ち上がり取りに行くと、一人だけカウンター前……ハルの顔をじいっと見つめ離れない男がいた。


「どうかした? 七松くん」
「……」


級友たちも、小平太どうしたんだ、と席から口々に声をかける。それでも彼は動こうとはしない。ただひとつ、爆弾発言を残すまで。


「ハル、お前、土井先生と恋仲なのか?」




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