――雷蔵目線――



「おっ、見てみろよ。ハルさんが一年は組とサッカーしてるぜ」
「本当だ。はは、楽しそうだ」


八左と図書室から寮に帰る最中の廊下で、ハルさんが相も変わらず元気そうに外を駆け回るのが目に入った。楽しそうに笑ってる。
一年は組、いいなあ。思わず呟いてしまったけど八左は気付いていないようだった。よかった、三郎だったら間違いなく突っ込まれていただろうから。


「……あ!」
「おわっ、なんだよ雷蔵でかい声だして」
「図書室、閉館の札掛けてくるの忘れた! 八左先に行ってて」
「おーわかった」


雷蔵案外そそっかしいよな、とくしゃっと笑う八左にゴメンと声をかけ、くるりと今きた廊下を早足で戻る。


… … …


「はー危なかった〜」


閉館だから委員が誰もいないのに、札がなかったら間違えて誰かが入ってしまう。それがもし先生とかだったら、管理不行き届きと中在家先輩が注意されて、下手したら予算にも響くかもしれなかった。(潮江先輩率いる会計委員会はそんな無茶を平気でするからね)
すたすたと寮へ戻ろうと足を進めていると、反対側、校舎がある方の廊下にてハルさんを見掛けた。どこに行かれるのだろうか、もしや迷子になってしまわれたのかな。
早合点もいいところだけど、きっとそれだけじゃない。ただ僕は、彼女と話がしたかったんだ。


「ハルさ、!!?」


信じられない光景が飛び込んできた。




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