「ハルちゃん、今日もお疲れ様!」 「いえいえ! やっぱりおばちゃんのご飯は大人気ですねー」 「うれしいわあ。さっ、ハルちゃんもランチお上がんなさい」
あたしの煮魚が好きだって、ちゃんと聞こえてたわよ! と、にこにこ顔のおばちゃんはちょっと大きめの魚を、わたしのために取っておいてくれたようだ。うれしくて思わずガッツポーズ。
「じゃあこのゴミを捨ててきたらいただきますね!」
両腕にガッと桶を抱えると、わたしは裏口から外にでた。ゴミ捨てが終わったらおばちゃんのご飯だ! 今日もお腹が空きました!
… … …
裏山の端に、恐らく綾部が掘ってくれてるんだろうゴミ捨て場所がある。前に生物委員と鉢合わせたところだ。
(まあ今日はいないわなー……ん?)
前回は木の根本に白い子うさぎがいたのだが、今回は白は白でもうさぎではなく。
(あれ、女の人がいるぞ?)
わたしが着ている寝着のような白い着物をきた女性が、木の横にすっと立っている。タカ丸くんが喜びそうな綺麗な髪をしている。 何してんのかな……あーもしかして三年ろ組みたく迷ってしまわれたのかな!
「あのー、もしかして道に迷ってしまった方でしょうか? あ、わたしハルといいます」 「……ハル、そう、ハルというの……」 「? はい、そうですけど」
近づいてみたら髪だけでなく顔も綺麗な人で、思わず綺麗……と呟いてしまった。すると彼女は、ふっと微笑を漏らした。
「ハル、」 「はい?(うお、呼び捨てだ)」 「あたし、あなたになりたいの」
ひゅんと風が吹くと、鼻と鼻が擦れるくらい間近に彼女がいた。 わたしが覚えているのはここまで。
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