「「おばちゃん御馳走でしたー」」 「はいよー!」
カチャカチャと盆をカウンターに置いた食満と立花くんは、妙な空気を互いに醸し出して食堂を去っていった(この二人怪しいかもしれないぞ……) そして入れ違うかのように食堂にやってきたのは、
「ハルさんこんにちは」 「こんにちは〜」 「おお双子みたいな双子じゃない二人組!」
どうもどうも〜と言えば、雷蔵はあははっと笑い、三郎は「なんですかそれ」と唇の端だけ上げて小さく笑った。うん、似てるけど似てないところもあるんだな。時折見せるクールな表情は三郎しか出来ないという事も判るようになったし。
「Bランチお願いします」 「はい、三郎はBね……雷蔵は?」 「うーん、うーん、どうしようどっちも美味しそうだもんなあ……」
しまった出たか雷蔵の迷い癖。 わたしは唸る彼に、色々アドバイスをする。といってもあのおばちゃんのランチだからどっちも太鼓判押しなんだけどね!
「うーん……あっ、ハルさんだったらどっち食べますか?」 「わたし? そうだな〜今日だったらAかな! おばちゃんの煮魚大好きなんだよね〜!」 「そっかーじゃあ僕もAにします!」 「私もAに変えて下さい」 「へ、三郎変えるの?」
Bって即答してたのになーと不思議に思うと、三郎は小さな声でぽつりと何か言ったが聞き取れず、まあいっかとおばちゃんに注文をお願いする。
(……あなたがうれしそうな顔をしたから、俺も同じものが欲しくなったんだよ)
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