――タカ丸目線――


髪を洗っている最中に六年生が入ってくるとは考えてなかったけど、五年生じゃなくて本当によかった。もし久々知くんが来てしまってたら、俺は嘘ついてしまったことになるからね。それに彼、嫉妬深いしさ。多分ハルさん関係では、俺は大分気に食わないヤツなんだろうなあ。ちょっと残念。
……それにしてもまさか食満くんまでああなってるとは思わなかったなあ。ちょっとみんな色恋沙汰はご勘弁願いますよ、と内心舌を出す。


「タカ丸くん」
「うん? どうかしたハルちゃん」
「三禁ってさっき潮江さんが言ってたけど、なにそれ?」
「ああー……」


君のことだろうね、とは勿論言わない。代わりに大分端折って教えてあげると、しきりに感慨深げに頷いていた。

――まあ、確かに、この童子みたいな素直さとか無邪気さとか、そういうもの、俺たちとは正反対の位置にあるから欲しくなる、のは解るかもしれないね。

抱き着いた喜八郎の肩越しから、にっこり笑った彼女は、いいなあ、ただそれだけはっきり感じた。


「みんな君を好きになる」


それは呪いのようなものだ。もう。




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