風呂場に転がり込むように突入してきたというのに、下半身はまだ着衣している潮江さんと食満。何なんだ。というより、なんでこの犬猿コンビなんだ。また喧嘩とかして収拾つかなくなったらどうしよう。
という、わたしの懸念を余所に、つかつかとこちらに詰め寄ってくる怖い顔した二人。


「やあ、潮江くんに食満くん」
「やあ、じゃねえよ斎藤! てめっ何してやがった!」


ちょっ、ちょっと食満がこんなかちキレる意味がよくわからないんですけどね。タカ丸くんの胸倉掴む勢いだぞ。まあタカ丸自身はあのいつものフニャフニャした笑い方してるだけだが(この人も大概すごい度胸の持ち主だな)


「ちょ、落ち着いて! これ見てコレ! どう見ても洗髪してもらってただけなんで!」
「しかし先刻お前言ってたじゃねえか、気持ち良いとかなんとか!」
「何の誤解をしてんだアンタは!!」


まずい食満が変な暴走を始めている。
何とかして潮江さんに止めてもらおうと視線を投げれば、彼は食満のようにわたしに迫ることはなく、ただタカ丸を見ていた。


「斎藤。いくらハルが一般人とはいえ、無闇に女に近付くのはやめとけ。三禁への意識が薄れてしまうだろうが」
「気をつけますー。すみません」
「あとハル!」
「はいいっ!!」


吠えるように名を呼ぶものだから、さっきまで大分リラックスしていたわたしの背筋がぴしゃんとなってしまった。くそー。




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