タカ丸はわたしを、いつもお風呂に入る時のように木の椅子に座らせると、軽く頭をマッサージしてくれた後にシャンプー、リンス、それからトリートメントを施してくれた。
元髪結い(だっけ)というだけあって、いやもうほんと気持ち良くて何回か眠りかけた。同時に、彼が髪に触れる指先がとても、とても優しかったので、ああこの人は本当に、髪の毛を大切にしている人なんだなあとぼんやり感じた。
最後にトリートメントを落とすため、軽く頭を洗われる。しゃくしゃくと自分の頭皮の上で、タカ丸の女性みたいなきれいな指と柔らかい泡が踊っている。


「ハルちゃん、痛くない?」
「痛くないよ〜。すごい、きもちいいです……」
「そっか、ならよかったあ」


ふふ、と満足そうに笑う声が頭の上から聞こえた。あー、本気で寝入りそう……。なんで人に頭洗ってもらうのってこんな気持ち良いんだろうね……と、あまりの心地好さにがくんと首が傾きそうになった瞬間。


「「待てまてまてぇぇぇい!」」
「ヒッ!!」


ガラガラッとけたたましく風呂の戸が開かれた。小心者なので思わず喉から悲鳴がちいさく漏れた。
なんだなんだと騒がしい音を引き連れてきたものを見遣れば。


「うわ、潮江さんと食満くんか……」




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