「あのタカ丸くん、」
「はい?」
「服脱いだ方がいい?」


自分で持ってきていた桶に、恐らくトリートメントとかその辺りの液体を注いでいる彼に声をかける。


「え? ああ、大丈夫だよーちゃんと濡れないように前掛け持ってきてるからね」
「あ、そうなんだ。よかった」


タカ丸くんは、美容室で髪切る時にかぶせられる合羽みたいなでかい布を、パサリと開いてみせてくれた。
あーよかった。やっぱ年下といえど他人なわけだし、水着でもあるまいし肌晒したくはないわな。己の身体に自信もありませんし。
そんな風に一人ほっとしていると、タカ丸はクスと口角上げて笑みを零した。


「――まあ、俺は脱いでくれて全然構わないけど」
「は、」
「いいよ。ふたり裸で……やっちゃう?」


覗き込むように顔を近付けてきた彼は、すこしだけ睫毛を震わせて囁いてくる。
イヤ、いやいやいや! なんだこの色気は!! やっちゃう、ってなんだよ13歳いい加減にしてくれ頼むから!!


「……なーんてね、あはは顔真っ赤」
「っ!! アホ言ってないでしっかりお願いしますよ!!」
「はいはい〜お任せあれ」


か ら か わ れ た !
綾部もそうだけど、四年生は人をからかうのに長けてるんだな、そうだな!




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