確かに、ヨシミちゃんの兄弟らしき白うさぎの子うさぎも触らせていただいた。 だけどな!
「いやいやむりむりむり、ほんと無理です」 「だーい丈夫ですって! トキは大人しいんで噛み付いたりなんかしませんよ!」 「そういう事じゃないんだよはっちゃん!!」
現在、生物委員長とその委員たちを背中に、前には灰色の“オオカミ”と対面しております、どうもハルです。 なんでこんな、サファリドキュメンタリーみたいな絵になってんの! そりゃうさぎや鳥なんかは可愛かったですよ、撫でまくりましたよ。でもオオカミは怖い以外の何物にもならんよ! だって初めて見るんだもの!
「ハルさん、まずはしゃがんで、トキに目線を合わせて」 「え、あ、」 「それから、手の甲を出して匂いを嗅がせます〜」 「こ、こう?」
わたしを囲うようにして、一平ちゃんと孫次郎くんが口々にアドバイスをくれる。成り行きのまま、言われた通りに行動すると、トキというオオカミはすんすんと犬みたいな長い鼻を手に擦り寄せてきた。
(ウワアアア怖えええ!!) 「恐がったら駄目っすよ、敬意を持って話し掛けるくらいじゃないと」
しゃがみ込んだわたしの両肩に手を置いて、頭上から助言を繰り出す代理委員長。こりゃ楽しまれてるな、と薄々感じつつも、それならばと口を開く。
「は、はじめまして……ハルです」
棒読みな言葉に、オオカミ相手にペコと頭も下げてみると、トキはぺろっとわたしの手を一度舐めると、頭を擦り寄せてきた。
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