耳の裏を人差し指で掻いてやっていると、がさがさと自分の後方、裏山から人が下りてくる気配がした。
「ヨシミどこにいっちゃったんでしょう……」 「竹谷先輩ごめんなさい! 籠を開け放してたから、」 「まあ、今度から気をつけろよ。今はヨシミの捜索が第一だからな!」 「「はいっ」」
あー名前からするにはっちゃんと、下級生の子かな。ヨシミって、誰か迷子になったんだろう。くのたまの子だろうか? でも籠って一体何なんだ。監禁か、って、んなわけないわな!
「ヨシミ〜〜……うわっ! 食堂のお姉さん!」 (んなびっくりしなくても) 「竹谷先輩!! ヨシミいました!!」 「えっなに、」
見慣れない一年生の子が大声で名前を呼ぶと、「ほんとかっ!」という声を引き連れてはっちゃんが現れた。その後に話した事のない一年生の子もひょいと続いた。
「お姉さん、ヨシミ捕まえてくれて本当にありがとうございます!」 「わーんヨシミ無事で良かったあああありがとうございますううう」
一度も言葉を交わしたことのない一年生ズが、半分泣きかけでわたしからうさぎを受け取ると、きゅうっとやわく抱きしめた。 何がなんだか分からないが、とりあえず、見つかってよかったね〜とその男の子たちに声を掛ける。
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