自分の年齢と本当に僅かしか差が無かったようで、テーブルに両肘をついて静かに俯く利吉さん。そんなにこの時代ではわたしは子どもに見えるのかな。自分じゃよくわからないけど。 奇妙に大人しくなった利吉さんはとりあえず置いておいて、わたしはおばちゃんの元に駆け寄る。
「おばちゃんただ今戻りました! もう小松田くんの仕事は終わったので食堂のお手伝いに回れます!」 「ありがとね〜休憩はちゃんと取ったかい? 朝から動きっぱなしだろう」 「大丈夫です!」
勢いよく返事すると、おばちゃんはちょうど良かったわと言った。 なんでも、五年生と六年生が合同夜間演習に行くらしく、その前の腹拵えにもうすぐ食堂になだれ込んでくると。
「そうなのか? 困ったな……」 「何が困るんですか?」 「いやべつに……」
突然会話に入ってきたわりに歯切れの悪い回答をする利吉さん。何なんだ。ていうかこの人そもそもなんでここにいるんだ。
「利吉くんはたまにうちの定食を食べに寄ってくれるのよ、はいできた。ハルちゃん持ってってあげてちょうだい」 「あ、はーい」
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